負けヒロイン

2023年7月7日

先月の終わりからゼノブレイドDEを始めた。シリーズ1作目のリマスター兼ブラッシュアップ・調整版。

ゲーム離れする前、最後にまともにやった作品で、とにかく面白かった印象だけは残ってたけど内容は綺麗に忘れてた。わざわざ最新ハード買ったんだし昔一度やったゲームやらんでも……とも思ったけどゼノブレ2を書いに行った時ちょうど一緒にセールになってたので買った。

結果的には良かったかな…改めてやっても相当な完成度の高さだと思うし、やめ時がわからないタイプの面白さがある。2の微妙に惜しかった部分は綺麗に解消されてて、旧スクウェアのDNAをほとんど全部受け継いで1本のゲームにきっちり構築されてる。
個人的な感触としてはやっぱりオープンワールドはフィールドのスケール感が肝だなぁと思った。歩いても歩いても世界の果てに行き着かない感。ポケモンSVとゼノブレイド1はこれがあってゼノブレイド2とアルセウスはこれが物足りなかった。

だいぶ前のゲームなのでさすがにローポリ感はあるけど巨大さとか遠近感の表現はまだまだ通用する気がした。スクショだとどうしても雰囲気が損なわれちゃうけど。テクスチャとか空気感作りのエフェクトとかがいいのかな。

あとは戦闘もキャラも世界観もストーリーも音楽もいいんだけど、書いておきたいのは何よりこれ。

パーティメンバーの1人メリア・エンシェントちゃん。一般的なファンタジー世界観だとエルフとかに相当するハイエンター族の皇女。負ける側ヒロイン。

ストーリーとかはほとんど忘れてたけどこの子だけはずっと頭の片隅に引っかかってた。声優の勝田詩織さんもだいぶ前にTwitter見つけてフォローした。
このゲームはフィールドの表現力に対して、キャラグラは当時としてもまあまあ中の中くらいだったと思ったけど(代わりに声優の演技でカバーしてる)、リマスターでモデリングから作り直されてえらくかわいくなった。フィオルンはもっとかわいくなってた。ホムヒカ様々だよ。

ゼノブレイドはたぶん、高橋哲哉総監督が意識的に万人受けするストーリーにするために(ほっとくと難解なSFになる)ボーイミーツガールやそれに近い男女の絆を礎にした物語として設計されてると思う。この作品では主人公のシュルクと幼馴染みのフィオルンがそれに対応している。
しかしフィオルンのパーティ加入はゲームからかなり進行してからで、中盤あたりでメリアが加入する。そしてこの不均衡さが強烈な印象付けに繋がる。困ってる人を放っておけない性格の主人公と、それによって関わり合いになる王女様。単なる恩人を越えた感情が見え隠れしているけれど、相手の眼中には幼馴染みしか見えていなくて……。

ついでにこのゲームの戦闘はプレイヤーが操作する1人+CPU操作2人の3人で戦うシステムになってるんだけど、メリアちゃんはプレイヤーの自操作しないと性能が引き出されないように設定されているのでより感情移入と判官贔屓が加速する。メインストーリーの展開でも徹底的に不憫。しかし昔やった時はなんか漠然と健気で好きだなくらいにしか思ってなかった気がするけど10年いろいろ触れてるうちに良くも悪くもこういうことの解像度上がったな……。
でも改めて本当にキャラがいいゲームだと思う。キャラクターの立て方がうまいというか。媚び媚びなキャラクター造形ほとんどいないし。台詞の言葉選びに強度があってセンスを感じるしこういうのは総監督の手腕な気がする。

いや、しかし思ってた以上に原点を再確認した気がする。なんかキャラクターを好きになるって本来こういうのが萌芽だったんだったというか。