地元のスピッツ。
スピッツもまたこの情勢で2020年に行うはずだったライブがすべて中止の憂き目に会い、今年全公演をアリーナ公演として再調整したのが今回のツアー。
今年は体調崩してから半年以上ずっと苦しくて厳しくて今まで疑いもせずにいたものが何も信じられなくなってしまったりしている中で唯一決まっていた予定がこのライブくらいだったのでどうしてもフラットな状態では見られなかった。
セトリは2019年末に一度見たものとほぼ同じ。2年越しの同じセトリのライブ。こんな体験するのは当然初めて。
振り返ってみれば最初のスピッツのライブが最後のコロナ禍前のライブだった。不思議なもんだな。やっぱりなんというか調子のいいときより調子の悪いときに真価を発揮してくれるタイプの存在なのかもしれない。こういう存在に出会えてよかった。
内容のほうはと言えば、2度目のセトリだったのでわりと全体を見る余裕があった。
まず何より演奏うますぎ。音源より圧倒的に重厚で硬くてうねりがある。それぞれの楽器の音が絡んで生まれる全体の音像からはただ単に譜面をなぞっているそれとは違う何かがあり、これこそがバンドがバンドとして活動する理由だという説得力を感じる。
久しぶりのスタンディングのライブだったけどとにかく音に身を任せるのが気持ちよくてやっぱり音楽って理屈や言語化で捉えきれるもんじゃないんだよなーとしみじみ。
歌や演奏も心なしか前に見たときより力が入っているように感じた。特にマサムネのボーカルは全体を通してかなり気迫がこもっていたような気がする。今のこの情勢に対する思いは少なからずあるだろうし。
正直まだ心のコンディションが弱ってるままなのでちゃんと楽しめるか不安なところもあったけど、終わってみれば理屈抜きで確実に気分が上向いているのを自分で感じとれた。やっぱりどんな状態のときでも寄り添ってくれるな。なぐさめで崩れるほどのギリギリをくぐり抜けて……