2021.12.25. ムーンライダーズ『moonriders live THE COLD MOON』

2022年5月7日

今更かよ、って感じだけどまあ色々バタバタしてたので。

去年の年末にムーンライダーズのクリスマスライブに行ってました。ライダーズ自体は昔相当好きでそれは前に書いたんだけど

大学生の頃病気のようにムーンライダーズを聴いていた

ライダーズは活動歴がありえないほど長く音楽性の変遷も激しいので、ぶっちゃけて言えばセトリで当たりを引けるかどうかが相当悩ましかった。チケット高いし。しかも直近のライブでポップで聴きやすい代表曲を並べた気前のいい選曲だったのでそろそろマニアックな選曲になりそうという予感が。
ちなみにライダーズのライブは2010年前後あたりで中規模フェスで2回観たことがあって、一番思い出深いのはなぜか夢が見れる機械がほしいをやって大観衆の会場を棒立ちにさせていたこと。あれはあれでいい思い出だった。

それでも次にいつこういう機会があるかわからないので結局行くことにした。そして結果的にはパーフェクトに当たりだった(ついでに最初に取ったサニーデイは激渋セトリだった)。

セットリスト

01. ぼくはタンポポを愛す
02. Come sta Tokyo?
03. 駅は今、朝の中
04. プラトーの日々
05. Love me tonight
06. Y.B.J
07. VIDEO BOY
08. いとこ同士
09. HAPPY LIFE
10. Cool Dynamo, Right On
11. スプーン一杯のクリスマス
12. 恋人が眠った後に唄う歌
13. ボクハナク
14. トンピクレンッ子
15. BEATITUDE
16. I am a Robot Santa Claus
-Encore-
17. 火の玉ボーイ
18. 大寒町
19. No.9(未発表曲)

ライブレポート:ムーンライダーズ、12月25日・26日に恵比寿The Garden Hallでクリスマス・ライブ「moonriders live THE COLD MOON」開催 | UROROS

https://twitter.com/ISHIHARAshin_/status/1475042469016633344

人生の伏線回収ライブだった。
選曲はまさかの90年代中心。恋人が眠った後に唄う歌とか聴けるなんて想像もしてなかった。加えて駅は今~、Y.B.Jみたいな絶妙に嬉しい曲や、ヴィデオ・ボーイ、Cool Dynamo, Right On、 BE ATITUDEみたいに最低限これだけは回収したかった定番曲もある。ボクハナクの博文さんのボーカルも良かった。泣いた。ほぼ全曲泣いてるな。年末シーズンでNo.9で締める構成ももうこれ以上望むべくもない。総じてクセの少ないストレートな名曲が多い、本当にありがたいライブでした。

ライダーズはライブ音源が非常に良くて、どんなに古い曲でもライブアレンジされると一気に洗練されて古臭さが脱臭されるんだけど(20周年記念ライブのa touch of fullmoon shows in the nightがというCDがオススメ)それもしっかり健在していた。
メンバーのみなさんもさすがに歳取ったなーって印象は拭いきれないんだけど、それでも演奏はしっかりと2020年代の現代を見据えたソリッドな音で懐メロに堕していない。実質的な新ドラマーの夏秋文尚さんやサポートの澤部渡・佐藤優介さんのエネルギッシュなプレイも相当大きかった。

アンコールも終わった終演後は暗転から突如スクリーンが降りてきて今後の告知が映像で流れるという声優コンテンツのライブみたいな演出が始まり、さらに新しくメジャー契約した日本コロムビアの担当さんが司会のトークコーナーをしばらくやって(やや余韻がかき消される)、それも撮影OKでSNSで拡散をお願いされるというこの期に及んで売れようとしているという事実が伝えられた。

鈴木慶一からは「もう解散はなしだ」という言葉も出たけど、あんまりからっと言われたもんだからなんか感慨に耽る気持ちにもならない。本当に一生掛けてムーンライダーズやるんだな。平均年齢70代のバンドマンが言う台詞かよ。いや、でも嬉しいな。またムーンライダーズが現在進行形で追っかけるバンドになるのか。

総じて見たかったものが見れた嬉しいライブだったんだけど、それらを差し置いても最も記憶に残ったのが、1曲目に演奏されたこれ。

HAPPY/BLUE ’95のカップリング曲「ぼくはタンポポを愛す」。知らねえ。終演後に調べたけど知ってるわけなさすぎて笑っちゃった。

開演して1曲目にこの演奏始まったときはあーあ、案の定知らない曲だよ。と思いながら耳を傾けてたんだけど、まあボロッボロ泣いた。
知らない曲、しかもここ10年はきちんと聴き込んでいなかったバンドなのに、はっきりとムーンライダーズというバンドのサインが刻印されているのがわかる。この歌詞の雰囲気は博文さんだろう、みたいこともわかる。
クリスマスライブということで選曲されたんだろうけど初聴なのにとにかく泣かせる。男女の別れと回想を歌った曲で、描かれる情景や比喩や心理が、紛れもなくムーンライダーズの作品世界。

たぶん今日はこの曲と出会うためにここに来たんだな。この期に及んでまだムーンライダーズのフェイバリットが増えるなんてな。