人生のサウンドトラックというか、自分の人生の進行とどうしようもなく分かちがたく結びついてるバンドっていうのは色々あるけど、APOGEEもそのカテゴリーの特権的な位置を占めている。
聴き始めたのはようやく音楽に興味を持ち始めた高校生の頃、当時1stアルバムのFantasticがリリースされていた。まだチャートミュージックから外れたギターロック聴き始めたくらいの耳にはとにかく新鮮な音で、インテリジェンス漂う格好良さに一発で好きになった。
でも何より思い出深いのがライブ。APOGEEのライブほどハズレがなくて居心地がいい現場は他になかった。今もない。
初めて行ったのがperigeepointという小さなライブハウスで行われた連続ライブ企画(今調べたら2010年で腰抜かした)。この時のプリンスやMJのカバー、アヒルのリミックスバージョンの演奏、伝達ミスで冷房が効いていなかったハコ、チンゲンサイとか呼ばれてた未発表曲、クアトロで最後に演奏されたグッド・バイの素晴らしさなんかは今もはっきり思い出せる。
その後のライブも開催されるたびにずっと通った。上でも書いたけどAPOGEEほど毎回あらゆる面で期待を裏切らないライブを見せてくれるバンドはそうそういなかった。もしかしたら人生で一番ライブ行ってるバンドがAPOGEEかもしれない。ついでに医学部再受験と大学院進学宣言も生で聞いた。MCでこんな報告するバンドいまだに他に見たことない。いるわけないんだが。
しかしその一方でやっぱりどうしようもなくライフステージの変化に伴う難しさみたいなのもだんだん伺えた。その不安が現実化したかのように内垣さんが脱退することになったし、バンドの出自からしてもこれはちょっとさすがに厳しいかもな、と思った。自分にしても北海道に帰ったのもあって結局オリジナルメンバーの最後のライブは見れなかった。
それでもまだAPOGEEを続けることを選んでくれた。そして数年ぶりに観たライブもやっぱりなんにも期待を裏切らないAPOGEEのライブだった。
音源より遥かにハードになる演奏や永野亮の美声も衰えぬままだったし、それと反比例するような飾り気ゼロのそのへんの兄ちゃんみたいなMCもまんまだった。観客のノリやアットホームな感じの雰囲気も昔のままだった。誇張抜きに俺と同じく全国から古参が集まってきてたんだろうな。
その一方でちょくちょく若い人がいたのも嬉しかった。実は3年前からトルネード竜巻のサポートもすごくよかった。トルネード竜巻て。2000年代どころか2010年代も遠くなった令和時代だよ今。
セットリストは裏CHRONICLEがテーマということでかなり珍しい曲に振ったライブだったけど聴いた覚えのない曲が多くて嬉しかった。数年ぶりに行ったライブが激渋セトリで嬉しいバンドなんかそうそうないよ。
あの頃から変わったこともいっぱいあったけど、また期待を裏切らないAPOGEEのライブで嬉しかった。どんなに時間が移り変わってもそういうのが全部チャラになる特別な時間だった。
そういう時間を提供してくれる機会を存続させてくれたことを、今はただメンバーと関係者の方々にとても感謝したい。