そんなに期待してなかったけど先月の中頃一応観とくかくらいの気持ちで観に行った。
ストーリーの詳細はほとんど知らないままだったけど、伝わってくる評判から非エンタメで宮崎駿が意識的に強く作家性やパーソナリティを出したものになっているのはなんとなく伝わってきたのでどっちかと言えば観れる方だろうなくらいの自負はあった。
結果的には存外に面白かった。宮崎駿くらいの人でも日本のある累計に属する作家ってこういうところに収斂していくのか~という感慨深さがあった。
後でパンフ読んだらかなり明確に自分の少年時代と実在の周りの人物をモデルにしたみたいで、少なくともメタファーとして埋め込まれている宮崎駿のモチーフを読み取るのがこの映画の大きな見方の1つにはなるんだろう。鳥が本当に鈴木敏夫だったのは笑っちゃったけど。内容的にも今までも宮崎駿作品の自己言及的なモチーフが多くて半分手癖でアドリブ的に展開書いてるんじゃないかなくらい思った。
もう1つは物語というフォーマットをプリミティブな形で使いたかった、みたいなモチーフがある気がした。異界に行って戻ってくる、というのは人間の歴史の中でも最も古い物語のタイプで、さらに現代の作家が神話的な強度を求めようとすると、しばしばシュルレアリスティックな論理が導入される。僕はこの手の話がめっぽう好きなので最後まで退屈せずに見れた。
総合的に宮崎駿でこんなのが観れると思ってなかったので嬉しかったな。ありがとう宮崎駿。