早見沙織 Concert Tour 2019 ”JUNCTION” 札幌公演(2019.04.13)

早見沙織 Concert Tour 2019 ”JUNCTION” 札幌公演(2019.04.13)

凄かった。

ライブでこれだけ衝撃受けたのは声優ライブに限らず久しぶり。音楽ライブ全般含めても何年かに一度レベルで素晴らしいライブだった。本当にこれほど衝撃を受けたライブは久しぶりです。ぜんぜん伝わらないだろうが自分的には2014年の山下達郎マニアックツアーの衝撃あたりまで遡るかもしれない。間違いなく人生ベストに数え入れられるくらいのライブだった。

自分の早見さんのソロ活動への向き合い方はサブスクでゆるく聴いてるくらいの追い方だったけど、今回のライブは早見沙織のものすごい音楽的能力の高さがフルに発揮されているのを目の当たりしたような感覚でした。ちょっと言い方悪いかもしれないけど、ソロの音源聴いてて早見さんならもっと凄いの作れそうなのにな~と心のどこかで感じていたもどかしさ完全に吹っ飛ばされてしまった。

ライブ前

早見沙織が札幌に来る!と知ったのはJUNCTIONのツアー発表時。新譜は前作より良かったし、北海道に来てくれるアーティスト(特に声優)は少ないので、できれば行きたかったけど、そこまで入れ込んでる人でもないし4月は出費も多いしどうしようかな~と迷いに迷って結局チケットを取ったのは公演1週間前。結果から考えれば完全に正解だった。自分を褒めてやりたい。チケットの価格とかどうでもよくなるライブというのは確かにあってそういう日だった。

「聴かせる」だけのライブじゃなかった

ペンライトなし、そしてホール公演、何よりアーティスト活動の方向性を見ていると着席でかしこまって聴くライブかな~と想像して行きました。

しかしそんなことはなかった。まず始まったらみんな立つし、早見さんもめっちゃ手拍子やシンガロング煽る。ほとんどライブハウス仕様かと思うほどの跳ねるリズムのバンドに、セットリストのファーストブロックはLet me hear、secret、Jewelry、メトロナイトとMCもそこそこにアップテンポ曲の連続。

ライブ全体の構成としてはスタンディング→座ってしっとり聴かせる→最後にもう一度スタンディングという構成で、この中でなんとなく感じたのは早見さんがステージでの振る舞いを通して「ライブ会場の空気をどういう温度感にしたいか」をかなりはっきり発信する人だな、いうこと。単に技術的に歌や演奏が上手いだけじゃなくて、聴衆を前にして歌うというライブの雰囲気作りに明確に意識がある人だと思った(こんなにハンドクラップ多いライブは初めて)。地方の小ホールでアーティストとの距離が近かったり、声優ライブという性格上既にツアー行ってて雰囲気把握してるファン多かったのもいい効果だった気がする。

元々この人はただ歌が上手いだけの声優じゃなくて、もっと音楽全般に造詣が深くて言ってしまえばめっちゃマニアックな音楽好きなんだろうな~というのはなんとなく感じてたんですが(お母さんがジャズシンガーだというのもどこかで読んだ)、ライブでも随所でそういう部分を感じられることが多かった。

早見さんの歌とバンドが凄かった

早見さんの生歌、尋常ではなかった。いや歌上手いのはわかってたつもりだったんですけど生歌でここまで衝撃受けると思わんかった。バンドがかなり厚みのある音なのに(バンマスは黒須克彦!)声量は全然負けてない、むしろ調和してる。それでいて今までどんなライブでも聴いたことのないような綺麗な高音が当たり前のように出てくる。特に曲のキメの部分でもなく1曲通して何度も何度もそういう瞬間が出てくる。

そして曲ごとの歌い分けや表現力のきめ細かさも次元が違う。弾き語りで「まだ歌詞ができてない」と言って「ラララ…」で歌われた新曲をきちんと聴かせることができる人とかそうそうお目にかかれる気がしない。このあたりは声優アーティストというのも大きい気がしました。

前述の通りバンドもものすごくレベルが高くて、ライブ通して曲調が相当バラエティに富んでいるのに最後までしっかり1つのライブとしてまとまっていたのはバンドメンバーのバランス取りの上手さが大きかったと思います。

★ステージ演出も良かった

アーティスト活動の性格上、演出は最小限に抑えてシンプルに歌と演奏で勝負、というのでも良かったと思うんですが、ものすごく凝ったステージ演出がされていた。ステージ上はしつこくならない程度の電飾が使われた品の良くてオシャレな、それでいて華やかなセットが組まれていて、照明演出も多様で綺麗だった。とにかくいちいちセンスが良い。こういう演出できるのはペンライトなしのレギュレーションなのも大きいんだと思う。

また、最大の特徴だったのはステージ前方の幕代わりに半透明のスクリーン。ここに開演時間と同時にプロジェクションマッピングが始まり、幕の向こうのバンドの演奏に合わせてイメージ映像が投影されたあと、幕が上がり1曲目がスタート。これだけでも良かった。会場の空気を日常から非日常に切り替えるのって結構上手い下手出ると思うんだけど、この日のライブは完璧だった。

しかし、その後さらに驚かされたのが、前述のスタンディングのセトリ第1ブロックが終わった後の着席で聴かせるパート(曲はたしか白い部屋と祝福)。ここがなんと半透明の幕を降ろしたままの演奏。早見さんとバンドがシルエットでしか見えず、スクリーンに様々なイメージ映像を投影しての演奏。これが本当に良かった。文章だと伝わりにくいと思うけど本当にここまで凝った演出が施されているとは思わなかった。逆に演出過剰ということも特に感じられず、最後まで飽きずに観れたのはこの演出の良さも大きかったと思う。

セットリスト、構成も良かった

地方公演でもMCもそこそこにインスト含め24曲近くやってくれて本当に嬉しかった。というかあまり休み入れずに3曲くらいは当たり前のように連続でやっちゃうの凄い。立って盛り上がるパートあり、座ってじっくり聴かせるパートありと、文字にすればそれだけになっちゃうけどそれを一切ダレずに聴かせる構成の上手さが光っていた。特にアコースティックな弾き語りもちょっと肩の力抜いて、という感じではなく、本人のピアノと歌でしっかり聴かせる充実の内容だった。 ライブ全部通してすべてが聴きどころだった。

特に印象に残ったアクト

メトロナイト

たしか前半スタンディングブロックのラストに歌われた。ステージ上の電飾が赤に青に移り変わる照明演出もキレキレ、歌いながら傍らに立てた小型のシンセ(マイクロコルグ)立ち弾きしてた早見さんが本当に格好良かった。一生忘れないと思う。

やさしい希望

前半アップテンポゾーンでの演奏。バンドアレンジと早見さんの歌で完全に化けてた、この曲ってこんなに凄い曲だったんだ…

白い部屋~祝福

前述の通り半透明スクリーン降ろしての演奏。何回か背筋ぞわぞわした

Fly me to the moon

「某25歳児のお仕事でもカバーさせて頂いている…」でフフってなった(かわいい)。今めっちゃ久しぶりにふりすた聴きたくなってます。

夏目と寂寥

JUNCTIONは曲調がバラエティに富んでいるので、あの曲どこでやるのかなと考えながら観るのも楽しかったんですがこの曲は終盤アップテンポゾーンに配置されてました。まさかのコール曲。

Blue Noir

アンコール前の最終盤、バンドメンバー紹介兼ねたソロ回し入り。超かっこかった。

NOTE

久々にビジネスじゃなくて本気で拍手続けてアンコールしました。この曲はアンコール1曲目で、公演ごとに入れ替わりだったと言ってた気がする。北海道は地元出身というギタリスト黒田晃年さんとのデュオ。本当に良かった。

Bye Bye

アンコール3曲目のラスト曲。終わったあとマイクなしで挨拶してくれたんですが2階席でもはっきり聞こえた。本当に最高のライブだったな…

終わったあとこのツアーあと東京の1公演で終わっちゃうのがもったいないくらいの気分になってしまいました。完全に早見沙織さん急激に気になる存在になってしまった。

あと今ツアーパンフ読んだら山下達郎のライブ行った時のこと書かれててめっちゃ上がりました。