わりと気になる新規プロジェクトが見つかったので簡単に書いときます。
公式では「音楽と物語がクロスフェードするサウンドプロジェクト」と題されている、『AKROGLAM(アクログラム)』。
いわゆるキャラソンを軸としたコンテンツだと思います。ひなビタみたいな楽曲を軸にしつつテキストやドラマCDなどの媒体でストーリーを進行させていくタイプ。
一聴して耳に止まるのは何よりクラブサウンド寄りの音作り。YouTube的な感性がかなり今っぽい。ただ聴いてるうちにどっちかというとこのコンテンツの作りのほうに関心が向いてきたのでそっちを中心に書きます。
「歌姫」を主題としたコンテンツ
まず関心を惹かれるのがコンセプトがアイドルじゃないこと。少女性や未完成性みたいなところから距離が取られているというか。
コンテンツの情報を眺めてまず目に留まったのが役で歌うことに実績がある大地葉さんがいることです。
Spotifyに極端すぎるのしかなかったがまあそれはいい。
つまり、これは純粋に歌が上手い声優集めてるのに加えて、歌い方のオーダーの影響も大きいんじゃないかな、と思う。いわば歌唱に演技的なファクターが入って最終的なアウトプットになってる。で、そのオーダーがいわゆるDIVA的なシンガー。
こういう歌姫的な楽曲コンセプト自体はたとえばナナシスのKARAKURIなんかを挙げられるけど、二次元コンテンツで全体のトーンとして統一してるのはあんまり見ない気がします。
コンテンツのカラー
それと個人的に長く聴き続けるコンテンツ曲って楽曲以外の部分も好きな場合が大半なんですが、アクログラムはこっちのほうもわりと好印象です。
個人的に楽曲と同等かそれ以上に全体の印象を左右すると思っているイラスト。
コンセプトアート的な部分はオシャレサブカル方向に振っていますが、イラストの絵柄自体は意外と二次元系っぽくてキャラクター自体の魅力がある。完全にシャニマス以降の絵柄ですね。あと地味に等身が高いのも特徴的だと思う。
https://twitter.com/envanishmentor/status/1304350709798764544
かわいい。
ボイスドラマは完全にオタク(伝わる)。ストーリーは雑駁に言うとラブライブ型のオーディションバトル大会を軸にしたもののよう。
あとはユニットごとに二言三言です。
曲とユニット
MINERALS『Show Your Eyes』
読みはミネラルズ。
綺麗なMVですね。全体的に現代的YouTubeの感性という感じがある。
作りはテレビアニメの静止画エンディング意識してるのかな?髪の毛など部分的にモーションつけるのはVaperwave/ローファイヒップホップ的なそれを感じる。
画面のモチーフはほぼ永井博の世界ですね。海辺のリゾート地を思わせる部屋、椰子の木、ネオンサイン、夏の匂い。シティポップというよりリゾートポップ。個人的にはこの色使いが非常に好きです。エメラルドグリーン混じりの淡いブルーというか。
この光の色合いと窓の外の水平線からすると時刻は早朝か。太陽が昇り始める直前。 南のリゾート地だと日の出も早いので午前3時50分から午前4時台くらい。そういうイメージを伝えてくる。
んで、この何かが始まる予感が、おそらく物語の始まりに重ねられているのでしょう。曲調も夜っぽい低い温度感と、夏の朝みたいな清廉で透き通った透明感があります。
こういう楽曲コンテンツのセンターってわかりやすいアンセム的な曲が多いと思うんだけど、こういう淡い感じを配置するのがオシャレでエモでいいなと思う。
RUBYSTAS『Sympathy』
読みはルビスタス。完全に声優に宇多田歌わせたい大人がいるコンテンツだ。私にとっては親の子守唄より耳馴染みがある曲調である。
こんだけアダルトな空気に振ったの相当思い切ったなと思います。これはさすがに一聴して声優の歌だと思える自信はない。そういうところではこの絵柄とかアート的な部分、そしてストーリー(このユニットのシナリオ面白いです)が音楽の補足説明的に効いてくると思う。こういうところがこの手のバックグラウンドの世界観を作り込んだ楽曲コンテンツが好きな理由の1つでもある。
それにしても大地葉さんすごいな。それとキャストで知ってるのあと鈴代紗弓さんくらいなんだけど全員演技も歌も上手い。
ASTRAM『イルシオン』
よし!オタクの曲!特に言うことなし!
とは言っても鳴ってる音はやはりすごい。6、7年前くらいはまだ「作り込まれたクラブ系の曲にアニメ声が乗ってるのが嬉しい」的なシンプルな感情があった気がするんだけど、今はもうそれ自体が1つの様式みたいになったね。
あとこのユニットが作中の前回優勝らしいんですがその辺のバックグラウンドもわりと一癖ありそうなのが良いなと思います。
その他雑感
書きながら気付いたんですがこれ2020年9月10日スタート(リンク)でまだ1ヶ月くらいしか経ってないっぽいんだけど、各種SNSやYouTubeの数字が好調です。
Twitterはこれ書いてる時点でちょうどフォロワー1万人、YouTubeはShow Your Eyesの再生数がもうすぐ10万です。派手なプロモーションをしてない(たぶん)コンテンツとしては早いペースだと思います。
そもそもこれ楽曲も公式サイトもきちんと作ってあるのに運営母体も謎です。なんなんだろうね。
いずれにしてもせっかくの新規コンテンツなので届くべきところに届けばいいなと思います。
関連リンク
公式サイト
Spotifyに公式のプレイリストがある。
(※2021/01/29追記)運営元が明かされました。ドリコムです。
あくまで推測ですが、この記事の被検索ワードでよく出てくる「アクログラム シャニマス」に関連する可能性はあると思われるのでできるだけ客観的なソースに絞って簡単に触れておきます。
シャニマスのプラットフォームであるenzaは2020年2月までバンナムとドリコムの共同運営でした(リンク)。また、シャニマスの開発元(の1つ?)とされている株式会社ノックノートは2020年10月にドリコムが一部を取得し、BlasTrainという社名になっています。(リンク1)(リンク2)。シャニのCDにも時期によってノックノートとBlasTrainがクレジットされているらしいけどこちらは未確認。
だいたいこんな感じ。以上!